事業ドメイン

企業は環境との相互作用により成り立っており、適切に環境に対応するために、固有の活動領域を設定する必要があります。優れた企業はこの活動領域を明確にしてやるべき事業とやるべきでない事業を明確に峻別しています。この企業の活動領域をドメインと呼びます。

ドメインは企業が進むべき戦略領域という意味合いも持ち、「対象となる市場(顧客)」、「その顧客のニーズ」、「自社の技術」という三つの要素で構成されています。

ドメインを定義するには、二つの表現方法があります。

一つは「物理的定義」で企業が提供する商品の種類、内容、取引先、顧客などの表現であり、もう一つは、「機能的定義」でその企業の機能をどうとらえるかで、企業の戦略上は、この定義がより重要になってきます。レビットは、アメリカの鉄道会社について、自らのドメインを「鉄道事業」という狭い領域でなく「輸送事業」という広い領域でとらえていたなら、鉄道会社が自動車や飛行機といった代替手段にその市場を奪われることはなかっただろう、と言っています。この「輸送事業」という定義が「機能的定義」になります。

また、企業のドメインは当然、環境変化に伴って変化させるので常に不変ではありません。企業がドメインを変更する時、企業の内部だけでなく、企業を取り巻く利害関係者に対して認知・合意してもらう必要があります。これを「ドメイン・コンセンサス」と呼びます。そのためには、ドメインを簡潔に表現し、関係者にとって理解しやすくすることが大切です。