事業環境の変化をとらえる

事業承継は経営革新のチャンスといっても、いきなり経営を変えていくような無謀なことはできません。経営を革新していくにはまず、後継者を取り巻く事業環境の変化を見ていく必要があります。外部環境を大きく概観すると、社会経済のグローバル化、原材料の高騰、情報化社会の進展、少子高齢化社会などをあげることができると思います。これらはすべて外部環境ですので、このような環境変化が自社の経営にどのようなチャンスと脅威をもたらすかという視点で考えることです。社会経済のグローバル化で自社への影響は、

原材料の高騰に自社のビジネスチャンスはないか、情報化社会の進展で何か新たな製品・サービスの提供ができないか、少子高齢化によって何が必要とされるか、というように自社への影響を掘り下げて考えてみることです。さらに外部環境を見るときには、PEST分析を奨めます。PEST分析とは、外部環境を政治政策(Politics)、経済(Economy)、社会情勢(Sociality)、技術の進展(Technology)の四つの切り口でみる分析で、特に新たな事業を行うときに便利で有効な分析手法です。

昨今の激しい事業環境変化で過去の知識や経験が通用しなくなり、過去の慣習にたよる経営をしがちな老舗企業の倒産が増加していることを考えると、事業環境変化を確実に把握し、それを経営に活かし、その変化からビジネスチャンスを見出すことがいかに経営上の大切な要因かが、理解できると思います。逆に、事業後継者にとっては、昨今の激しい事業環境変化は、新たなビジネスチャンスの到来であり、また新たなビジネスモデルを創りだして経営を革新していく大きなチャンスなのです。