「設備力と収益力」で伸びる会社・つぶれる会社

企業活動には当然、経営資源の一つとしての設備が必要です。設備を備えることによって、その設備を有効に活用してお客様のための商品やサービスを生み出し提供することで、収益を上げて企業は成長していきます。従って、設備とは企業が収益を上げて成長していくための事業の基盤となるものです。生産方式には基本的に中小製造業に多い取引相手先ブランドで生産するOEM生産と比較的大手企業に多い自社ブランドで生産する非OEM生産の二つがあります。

福井県にあるB社はモノづくりで成長してきた会社ですが、近年の低成長時代に入ってからその成長に陰りが見えています。現状、OEM生産が売上の90%を占めており、今の全体のボリュームを下げることなく何とか非OEMの売上比率を30%まで高めたい、というのが当面の社長の目標です。

ある日社長からの依頼で、部門長会議にオブザーバーとして出席させていただきました。製造部門、総務経理部門、営業部門、購買部門がこの会社の全部門でその部門長が出席しての会議です。(技術部門や品質管理部門の部門長がいないので、あとで確認してみると技術や品質管理部門は製造部門の中に担当者がいるだけとのことでした。)モノづくりで成長してきただけのことはあって、発言の中心は、製造の部門長でした。総務経理部門から新年度の数値計画の発表があった後、早速、製造の部門長の発言が続きました。「製造設備が老朽化しており、これらの設備を更新しないととても新年度の計画は達成できない。設備の更新とさらに製造作業員の増員をしてほしい」という内容の発言でした。この発言に対して、特に他の部門から意見が出ることもなく、この後は、それぞれの部門から現状の報告があって部門長会議は閉会となりました。

終了後、社長は製造部門からの正式申請があれば設備更新のための投資をしなければならないと思う、と話し、また社長から今回の会議に関して(会議と言われるようなものではありませんでしたが、当社ではこれが会議なのでしょう)コメントを求められたので、以下のように申し上げました。

これまでは確かにモノづくりで成長してきましたが、今のままの体制では、非OEMの比率を30%に引き上げることは不可能に近いでしょう。何故なら、非OEMの比率を上げるということは自社ブランドで売ることですから、当然その前に、当社の組織体制として、製造部門中心の組織運営を改め、技術部門、品質管理部門を独立させて技術中心の組織運営を行い、製造の品質レベルを高める必要があること、そして営業部門もOEM営業はある意味「御用聞き」に近い営業レベルで済むが自社ブランドの売り込みとなると「技術営業」が大切なキーワードになること、の二つを組織としてしっかりとつくりあげることの必要性を話しました。

さらに、設備更新の投資についても、製造の意見を安易に取り上げるのではなく、「設備更新なしでできる方法」がないかを皆で考え、それを部門長会議で討議する必要性を話しました。その一案として、アウトソーシングや外注化があることも話しました。

そしてまた、設備投資をするときには、最低でも、その投資金額と同等以上の年間売上高を確保する計画をしっかりと立案して実行することの重要性も理解してもらいました。

冒頭でも申し上げた通り、設備とは企業が収益を上げて成長していくための事業の基盤となるものなのです。そのためには、設備力と収益力のバランスのとれた経営が大切になるのです。

先の事例でも見たとおり、成長してきた製造業のほとんどは「製造力」で成長してきており、製造部門の力が組織の中で大きな位置を占めています。しかし、もう一段、成長しようとするときには、「技術力」が大切なキーワードになるのです。つまり、「技術製造」と「技術営業」への転換が必要となるのです。その結果、「設備力と収益力」のバランスがうまく取れるようになるのです。

 

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