経営戦略の構成要素(3)

競争優位

企業活動は競合他社の存在を前提として行われる。現在は競合他社が存在しないとしても、新規参入者や代替製品という潜在的な競合他社がいる。素晴らしいドメインをデザインしても、それが競合他社に比べて劣っていたら、大きな経営成果は期待できない。企業の経営努力の多くは、如何にして競合他社に勝てるかという課題の解決に向けられる。競合他社と比較して競争優位に立つための戦略を競争戦略という。競争優位とは、他社との競争で上回り、高い成長性や収益性を確保できる状態である。提供する製品、サービスのコスト競争力で競合他社に勝っているか、品質・機能・デザインなどの差別化で優れていることだ。あるいは、事業を限定された範囲に集中化することだ。競争優位を獲得し、維持している企業は、長期にわたって安定的に事業を営むことができる。

競争優位を獲得するためには、KFS(成功のカギ Key Factor for Success)を明確にすることが重要である。KFSは「競争優位の源泉」や「利益の源泉」を明らかにして、1つか2つに絞り込んでいくのが一般的である。事業には、所属する業種・業界・業態によって、ある程度決まったKFS、つまり、勝ちパターンがある。高級婦人服ならデザイン力、カジュアルウェアなら低価格という具合である。こうしたKFSにおいて競争相手を上回ることが競争優位を獲得する近道である。

競争優位を獲得する経路には、自社がさらに強みを伸ばす方法と競合他社の弱いところを突くという2つの発想がある。いずれかの経路を選択したら、自社の経営資源を集中してKFSの優位を築く必要がある。