買い手(顧客)の交渉力

買い手、つまり顧客との力関係(交渉力)を分析します。顧客の方が強い立場にある買い手市場では顧客が値下げ要求や同業者と競争させたりして購入価格を下げようとします。反対に、顧客よりも強い立場に立っている売り手市場であれば収益性も向上しますので、企業にとって好ましい環境といえます。顧客のコスト全体に占める割合の大小、顧客が取引先を変更するのにかかる費用、などが分析要因です。ポーターは、よい顧客を見つけるには、以下の点について、しっかりと把握することが必要と述べています。

1.買い手が集中していて、売り手の総取引量にとって大きな割合を占めている

買い手が集中しているということは、売り手に対して買い手の数が少ない買い手市場になっていることを意味します。買い手は売り手を好きなように選べるが、売り手は何としても買い手を確保しなければならないので激しい競争になります。

2.買い手の購入する製品が買い手のコストまたは購入物全体に占める割合が大きい

業界が提供する製品が買い手の予算の大部分を占める場合、買い手は少しでも有利な条件で買おうとするので業界内の競争は激化します。

3.買い手が購入する製品が差別化されていない

製品やサービスに差別性がなければ、当然、激しい価格競争になります。

4.取引先を変えるコストが安い

取引先を変えるコストが安いということは、買い手がどこからでも帰るということですから、当然、価格競争などを激化させることになります。

5.収益が低い

買い手の収益が低いと購入価格に敏感になって安く購入しようとするので、競争が激しくなります。

6.買い手が川上統合に乗り出す姿勢を示す

自動車メーカーが部品メーカーに対して、部品はいつでも内製する、という意思表示を見せると、売り手側は交渉上、不利になり、価格競争で優位に立てません。

7.売り手の製品が買い手の製品やサービスの品質にとってほとんど関係がない

売り手の製品が買い手にとって重要ではないケースなので、売り手の立場は弱くな  ります。

8.買い手が十分な情報をもつ

売り手と買い手の情報格差は競争環境に大きな影響を与えます。

9.顧客の購入ニーズとそれに応える自社の能力

買い手の購入ニーズとは、ズバリ、顧客が今の製品やサービスに感じている「不」、つまり不便、不具合、不快、不自由などです。これをいかにして自社の能力で解決して顧客に満足してもらうか、がポイントです。顧客の持つ「不」の解決で売り手は買い手に対して強い立場に立てます。

 

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