顧客を見直す

PPMのフォーマットは既存顧客の見直しにも有効なツールです。ここで、顧客を見直す時には、PPMの図表の縦軸に顧客別の売上高成長率をとり、図表の上に行くほど売上高の成長率の高い顧客を示し、また、横軸には売上総利益額をとり、右へ行くほど、顧客ごとの売上総利益額が増加するように示します。結果として、右下が「金のなる木」、左下が「負け犬」、左上が「問題児」、右上が「花形」となります。

特に歴史のある老舗企業においては、過去において長い間に数多くの企業と取引した実績があるはずです。しかし、どの企業もこれまで取引実績のある既存企業のうち、現在取引している客先は20%にも満たないのではないでしょうか。残りの80%のほとんどが、象限2「負け犬」になってしまっているはずです。しかし多くの企業は、これら第2象限の顧客との取引を再考することなく新規取引先開拓のために多額の広告費等をつぎ込んでいるはずです。

第2象限「負け犬」の顧客とは昔は実績があったのになぜ今はないのでしょうか。恐らく、自社の提供する商品・サービスがそれら顧客のニーズに合っていないか、価格が高い、等の原因があるはずです。新規顧客を開発する前に、既存顧客との不一致点を見直し、既存顧客がフル稼働するような賢い経営をすることも大切です。

 

象限1「金のなる木」の顧客

自社への貢献度が最大の顧客。ここで得た資金を象限3「問題児」につぎ込み育成

この象限の顧客へは新たな営業戦略を練らないと象限2「負け犬」へ転落するので、取引先の課題発見と解決が重要。

象限2「負け犬」の顧客

自社の営業活動が浸透しきれていない顧客で、営業活動上、何らかの問題がある。伸びるめどが立たなければ撤退。

象限3「問題児」の顧客

売り上げの伸び率は高いが利益・キャッシュの獲得はまだ少ない顧客。利益を拡大してキャッシュ獲得を最大化する営業戦略が重要。

象限4「花形」の顧客

将来的に「金のなる木」へ成長する可能性は十分にある。相互の信頼関係を深め、取引先の満足度を高める戦略が重要。