貸借対照表に見る自社の状況

(1)貸借対照表の構成

貸借対照表とは企業の一定時期における財政状態を示すもので、表示される財政状態とは、資金の調達源泉及びその運用形態のことです。

貸借対照表の右側は「貸方」と呼ばれ、資金の調達源泉が示されています。資金の調達源泉には。他人資本(負債)と自己資本(純資産)があり、他人資本は、その企業の資金調達源泉が「債権者」によるもので、支払手形、買掛金、借入金等があり、いずれ、支払ったり、返済したりする資金です。また、自己資本(純資産)は、その企業の資金調達源泉が「株主」からの払込資本やその企業が稼ぎ出した利益(内部留保)で構成されており、返済や支払不要の自己資金です。

一方、貸借対照表の左側は「借方」と呼ばれ、資金の運用形態が示されています。資金の運用形態には、短期的な資金の運用形態である流動資産と長期的な資金の運用形態である固定資産があります。

そして、貸借対照表は、右側と左側の合計が一致しますので、資産=負債+資本の関係が成り立ちます。

(2)4種類の貸借対照表

貸借対照表に示された財政状態を読むときは借方を流動資産と固定資産、貸方を流動負債、固定負債、純資産のように5つの項目を押さえることが大切です。5つの項目で押さえて読み込むと、企業には4つのパターンしかないことがわかります。これが管理者・幹部の貸借対照表の読み方になります。

貸借対照表は、その企業の短期的な安全性とちょい機的な安全性を示しています。

・短期的安全性  流動資産>流動負債

・長期的安全性  純資産>固定資産

(注)(純資産+固定負債)>固定資産の場合、一応、長期的安全性は保たれてはいるが、固定負債があり、支払利息の発生がある可能性が高い。

Aパターン:短期的にも長期的にも安全性に優れたパターン

流動資産>流動負債   純資産>固定資産

Bパターン:短期的には問題ありませんが、長期的にみると長期の借入金などで安定性を守っている企業です。

流動資産>流動負債   純資産<固定資産

(純資産+固定負債)>固定資産

Cパターン:短期的にも長期的にも安全性が崩れているパターンで難しい資金のやりくりが続いている企業です。

流動資産<流動負債   (純資産+固定負債)<固定資産

Dパターン:債務超過のパターンで危険な状態にあります。

流動資産<流動負債  繰越損失>純資産