経営の基本原則

多くの企業で忘れられている経営の基本原則について、再確認して日常の経営活動において明確に活かすようにしましょう。ここでは、経営管理の目的、方法、対象の三つを再確認しておきたいと思います。

 

(1)経営管理の目的

経営管理は、「経営資源の有効活用」、つまり最小のアウトプットで最大の成果をあげることを目的としています。人、物、金、情報をいかに有効に活用するかがポイントです。人つまり人材を指導育成して少数精鋭で、複合能力を与え、適材適所に配置し相乗効果を発揮させ、物つまり設備を効率よく活用できるように整備点検し、遊休をなくしフル活動させ、金つまり資金は最少の資金で有効な方法を考え、また幅広いネットワークを活用して最多の情報を収集し、組織内で共有、タイムリーに活用する、ことが経営管理の目的になります。間違っても、余剰人員、余剰設備を創り出し、情報共有のない組織を創り出してはなりません。

 

(2)経営管理の方法

経営管理の方法は「マネジメントサイクル(PDCA)の循環」です。つまり、目標設定と達成のプロセス計画を立案し、計画が効率的に遂行できる体制をつくり、メンバーを動機づけ、メンバー間のコミュニケーションを促進し、成果を測定・評価し、最後にどのように次の計画につなげていくかを決定し、サイクルを循環させることが経営管理の方法です。特に事業環境変化の激しい昨今においては、計画の立案(P)がもっとも大切であり、また、最近では、どのように次のPlanにつなげるかActionの部分もその重要性を増しています。多くの企業において、残念ながら、Planで終わってしまったり、またDoの段階でのプロセス管理がなされていなかったり、さらには評価のみで終わってしまい、Actionにつながらず、マネジメントサイクルが循環していない部分がみられます。後継者にとっては、経営管理のみならず、人材育成など経営のあらゆる場面で意識してマネジメントサイクル(PDCA)を循環させることが大切です。

 

(3)経営管理の対象

経営管理の対象は、人(部下)です。この際大切なことは、「人(部下)を通じて目標を達成する」ことに注力することです。企業としての、あるいは部門としての目標を明確にして、効果的に目標を達成できるように部下の意欲を高めて「動かす」ことが大切です。つまり、経営管理を行うには「人(部下)を動かす技術」が必要になります。「自分がやったほうが速い」といって上司がやってしまっては、部下は育ちません。

さらにもう一つ、忘れられている大切な公式があります。以下の利益創出の公式です。

 

利益=売上―原価    売上=客数x客単価

 

この簡単な公式が経営者に忘れられ、多くの経営者は、闇雲に売上を増やすことと、原価を引き下げるにはどうするかのみに頭がいっているようです。後継者としては、経営するにあたり、まずはこの簡単な公式を頭に叩き込んでください。利益を増やすには、客数を増やし、客単価をあげて、原価を引き下げる以外に方法はありません。客数を増やすにはどうするか、客単価をあげるにはどうするか、これをどのように行っていくかが「マーケティング戦略」そのものです。とくに客数を増やそうとする場合、後継者は新規顧客を獲得しようと多くの宣伝費を使ったりしがちです。後継者としては、先代が残した宝物である「既存顧客リスト」を分析して活用すべきで、これを実施する場合には、先に学んだPPMの活用が必須です。