「社長」で伸びる会社

社長に会っていろいろと経営に関わる相談を受けるとき、二通りの社長がそこにいます。「うちの社員はよく働くので助かります」という社長と「うちの社員は、少し目を離すとサボりだすのでどう教育したらよいでしょうか」という二通りのタイプです。

前者は協調性のある社長であり、後者は独善的な傾向の強い社長です。どちらの企業の業績が良いかというと前者の方が間違いなくよい業績を上げています。それは何故でしょうか。

協調性のある社長は「相手の立場で」ものを見て考え行動することができるので、相手の良い面を引き出す能力を備えているのですが、独善的な傾向の強い社長は常に「自分中心で」ものを見て考え行動するので、相手の悪い面しか見えないのです。

この違いが社員のやる気になってあらわれて、社員の成長における大きな落差を生み出し、結果として、両社の業績に大きな差となって現れてくるのです。

社長に大切な資質の一番目は「相手の立場で」思考・行動できるかです。

協調性があり、相手の立場で思考・行動できる社長には、自分自身に対する厳しさがあり、その厳しさを支えているのが、明確な自身の理念です。

つまり、「何のために事業をしているのか」という社会的使命(ミッション)が明確で、さらに「そのために自社はどのようにあるべきか」というビジョンがはっきりしているのです。「相手の立場で」思考・行動できる理由は、ここにあるのです。

特に中小企業であれば、社長そのものが会社の業績になってあらわれます。言い換えれば社長の資質がそのまま、企業の業績となって現れるのです。

ある興信所の統計に、健全な企業と倒産した企業における社長の資質を比較した面白いデータがあります。

それによりますと、「積極性」「実行力」「真摯な態度」の三つが双方のトップスリーを占めています。つまり、これは経営者として当たり前の資質であるということです。

この三つの後に「ビジョンの存在」「決断力」「社交性」がありますが、健全な企業の社長は「ビジョンの存在」と「決断力」に優れており、倒産した企業の社長は「社交性」に優れているとそのデータが示しています。

つまり、私なりの解釈を加えますと、倒産する企業の社長には、理念に基づく使命感もビジョンもなく、そのために、「儲かりそうだ」という欲望だけで、その案件に手を出し、大きな赤字を出し、さらにすぐに手を引く決断もできずにズルズルと最悪の状況へ陥ってしまうのです。

一方、健全な企業の社長は「何のために事業をしているのか」という使命感と「そのために自社はどのようにあるべきか」というビジョンが明確であるために決して「私利私欲」のための行動はとらないので、企業は自ずと健全な発展方向へ向かっていくのです。

これをマーケティングに置き換えてみると、健全な企業の社長は、「相手の立場=お客様の立場」で考えて行動できるために「顧客満足を得る」経営である「マーケット・イン」の発想ができるのに対して、倒産する企業の社長は「自分中心の独善的」経営であるために「顧客が誰か」を考えず、ただ自社の商品を売りつけようとする「顧客無視の経営」、つまり「プロダクト・アウト」の発想での経営となり、結果として市場から見放されてしまうのです。

企業が健全に発展していくためには、「お客様に支持される経営」が必須であり、そのためには社長の資質として「相手の立場で」考え、行動することが大切です。それを根底から支えるのが、社長としての明確な理念の存在なのです。

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