3C分析
3C分析とは、市場を構成する顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の頭文字を取った分析手法で、この分析は、データをベースに行われます。3C分析の狙いは、自社の標的顧客が競合ではなく自社を選んでくれるために発揮する能力は何かを明確にすることでもあります。

・ 顧客ニーズを把握する顧客分析
マーケティングの出発点は「顧客」であり、3C分析の出発点も「顧客」です。マーケティング活動の目的は、顧客のニーズに合ったものを提供し対価を獲得することによって、市場需要を開拓・拡大することにあります。したがって、顧客をよく知らなければそのニーズを満たすことは不可能です。顧客分析では、顧客の真のニーズまで掘り下げて把握することが重要であり、そのために「自社の事業には、どのような顧客がいて、その顧客はどのようなニーズを持っているか」という観点で調査する必要があります。顧客が求めているのは、製品やサービスではなく、「己のニーズを満たすもの」です。たとえば、TDRへ出かける顧客は、そこに展示されたものを見に行くのではなく、「創造された別世界」を体験しに行くのです。
・ 競合の動向を分析する競合分析
市場には必ず競合が存在します。そこで、競合がどのようなマーケティング活動をして顧客ニーズに応えようとしているかを把握し、対応策を講じる必要があります。顧客が製品やサービスを購入するには、ただ単に使えればいいとか、製品に対して何らかのこだわりがあるとか、何らかの理由があり、それに伴って、顧客は製品を選ぶ際にある判断基準を持っています。その判断基準を合った製品・サービスの中から、自分のニーズを満たすのに一番ふさわしいと思われるものを購入します。そこで企業としては、自社製品を顧客に選んでもらい顧客に支持されるために、競合が提供していない機能やデザイン、価格などの面で自社製品を差別化していく必要があります。そのためにも、競合の活動を分析して、自社の製品開発に活かすことは必要不可欠です。
・ 自社の能力を分析する自社分析
これまでの2C(顧客、競合)分析で、「競合企業を押さえて顧客の支持を得るために、どのような商品・サービスを提供すればよいか」が明確になりました。
たとえば、マックに差別化して対抗するモスバーガーの「100%国産の安心できるうまさ」を製品化した「とびきりハンバーグサンド」です。このモスの「100%国産の安心できるうまさ」をKFS(成功のカギ)と呼びます。この成功のカギをキッチリと押さえて、顧客のニーズに対応した自社製品を開発氏提供していけば、市場での競争優位を築くことができるのです。このKFSが明確に把握できたら、自社の能力分析を行います。「自社の成功のカギを満たすためにどのような経営資源を持っているのか」「成功のカギに繋がる自社の強みは何か」「逆に克服すべき自社の弱みは何か」など成功のカギと現実のギャップを把握して、「成功のカギ」を実現するためのマーケティング戦略の構築へつなげていきます。
自社事業の3C分析のプロセス
競争優位
企業には競争者あるいは潜在的な競争者がいて、競争者との競争を前提として企業活動が営まれます。企業が長期的に存在し発展するためには、これら競争者に対して競争優位を確立する必要があります。自社がいくら優れた技術やノウハウを持っていたとしても、競合他社が自社より優れた技術やノウハウを持っていたとしたら、自社は競争優位を発揮することはできません。競争優位の獲得と維持は、自社の収益の源泉であり、経営戦略の重要な要素なのです。
競争は既存の業界だけで行われるわけではありません。ポーターのファイブ・フォースモデルに示されている通り、潜在的な脅威として新規参入者や代替品としての参入者の脅威も考慮して戦略を立てなければなりません。
競争優位とは、他社との競争で上回り、高い成長性や収益性を確保できる状態をいいます。自社が提供する製品やサービスにおいてコスト競争力で競合他社に勝っているか、品質・デザイン・機能等の差別性で優れているか、あるいは限定された事業範囲に自社の事業を集中化して優位に立つかです。競争優位を獲得してそれを維持している企業は長期にわたって安定的に事業を営む事が出来るのです。
競争優位を獲得するためにはKey factor for Success(KFS=成功のカギ)を明確にすることが重要になります。事業には所属する業種、業界、業態によって、ある程度決まった勝ちパターン、つまりKFSがあります。高級婦人服のデザイン力、カジュアルウェアの低価格、サービスに係る付加的機能、などです。こうしたKFSにおいて他社を上回ることが競争優位を獲得する近道です。
シナジー
企業が二つ以上の事業活動を実施する時、それぞれの事業を互いに関連付けて行うと個別に行うよりも大きな成果を得ることができます。このように1+1=2ではなく、1+1が3にも4にもなる状態をシナジー(相乗効果)といいます。シナジーは経営資源を異なる事業活動で共通利用することから生まれます。シナジーは、使用する経営資源に従って、販売シナジー、操業シナジー、投資シナジー、経営管理シナジー等に分類できます。
特に企業が多角化を実施する時、シナジーが重要視されます。多角化の戦略によって企業が新しい製品・市場に参入する時、既存の生産設備、販売経路、技術などを強要することでシナジーが得られます。
また、永い間事業構造が固定化している企業においては、シナジーの存在が忘れられがちです。シナジー発揮の可能性はどのぐらいか、更に拡大の余地はあるのか、など難しいシナジーの評価に迫られます。
シナジーは事業部間のセクショナリズムやコミュニケーション不足、戦略の不在などによって発揮できない状態に陥ります。
資源展開
企業が存続し、気魚ぷ活動を続けるには経営資源が必要です。経営資源は物的経営資源とソフトな無形経営資源に分類することができます。企業の意思決定や日常業務の執行は「ヒト」によって行われます。また。生産設備、店舗、原材料のような「モノ」が経営には必要です。そして、これら「ヒト」や「モノ」を調達するには「カネ」が必要です。これら「ヒト」「モノ」「カネ」を物的経営資源といいます。最近はこれに加えて、「情報」やノウハウ、ブランドといったソフトな経営資源の重要性が高まってきています。
大きな経営成果を生むためには、優れた経営資源が必要です。そのために企業は経営資源を外部から調達したり、組織の中に育成したりして確保します。確保した経営資源を組織内に蓄積して、これらを「独自能力」と呼べるまでにそのレベルを高めようと努力します。
経営資源は、組織内に蓄積するだけでは何にもなりません。企業活動に適切に活用して初めてその価値が生まれます。その価値は、経営資源の適切は配分によって作り出されます。この経営資源の適切な確保と配分に係る意思決定を
「資源展開」と呼びます。資源展開は、経営資源を構成する重要な要素です。
事業ドメイン
企業は環境との相互作用により成り立っており、適切に環境に対応するために、固有の活動領域を設定する必要があります。優れた企業はこの活動領域を明確にしてやるべき事業とやるべきでない事業を明確に峻別しています。この企業の活動領域をドメインと呼びます。
ドメインは企業が進むべき戦略領域という意味合いも持ち、「対象となる市場(顧客)」、「その顧客のニーズ」、「自社の技術」という三つの要素で構成されています。
ドメインを定義するには、二つの表現方法があります。
一つは「物理的定義」で企業が提供する商品の種類、内容、取引先、顧客などの表現であり、もう一つは、「機能的定義」でその企業の機能をどうとらえるかで、企業の戦略上は、この定義がより重要になってきます。レビットは、アメリカの鉄道会社について、自らのドメインを「鉄道事業」という狭い領域でなく「輸送事業」という広い領域でとらえていたなら、鉄道会社が自動車や飛行機といった代替手段にその市場を奪われることはなかっただろう、と言っています。この「輸送事業」という定義が「機能的定義」になります。
また、企業のドメインは当然、環境変化に伴って変化させるので常に不変ではありません。企業がドメインを変更する時、企業の内部だけでなく、企業を取り巻く利害関係者に対して認知・合意してもらう必要があります。これを「ドメイン・コンセンサス」と呼びます。そのためには、ドメインを簡潔に表現し、関係者にとって理解しやすくすることが大切です。