Archive for 3月, 2016

競合ギャップ分析

市場における競争はグローバル化し、どの企業も収益力を高めないと生き残ることはできません。しかし、現実には各企業に収益の格差が生まれています。その収益性の格差はなぜ生まれるのでしょうか。企業間の競争の結果として収益の格差が生まれているのです。市場での競争に勝利した企業は顧客との取引に成功をおさめ収益を確保できるのです。一方、市場で競り負けている企業は、競合に競争を仕掛けられているにもかかわらず、それに気づかないか、あるいは気づいても自社に最適の競争戦略を見いだせずに競争に負けて収益を低下させているわけです。

利益の源泉は、

 

利益=売上―原価=(客数x客単価)-原価

 

に示されるように、売上と原価の二つにあります。さらに突き詰めると売上を構成する客数と客単価および原価という三つの要素になります。

しかし、多くの企業は客数、客単価に戦略的に触れることなく内部的要因である原価の削減に終始し、結果として市場での競争に敗れているのです。つまり、市場で客数を増やし、客単価を上げるための戦略をとることなく、収益を低下させているのです。ここでいう客数を増やし、客単価を上げていく戦略=競争戦略の立案と実行が企業にとっての必須条件となるわけです。

 

ポーターのバリューチェーンに見られるように企業は「主活動」と「支援活動」という二つの基本活動を日常的に行うことで顧客に価値を提供しています。

さらに主活動は、「購買物流」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」の5つの活動から構成され、また支援活動は「全般管理(インフラストラクチャー)」「人事・労務管理」「技術開発」「調達活動」の4つから構成されています。

この9つの活動と企業に所属するメンバーの行動能力が一体となって競争力を形成しているわけです。

自社の競争力を高めるためには、競争優位の源泉を考える際の基本的枠組みであるバリューチェーンを見直し、競争力を実際の市場でどのように生かしていくかを競争戦略に反映させていく必要があります。

そのために、自社の競合先を選定したうえで、以下の流れで競合企業の戦略を理解するために、競合先とのギャップ分析を行い、自社の戦略に反映させることになります。

競争で相手よりも優位に立つには、バリューチェーンの各活動項目について、競争相手と比較することで戦略を立てることが効果的です。つまり、自社の持つ能力と競合の持つ能力とを比較してその要因を洗い出す「競合ギャップ分析」が重要になります。ギャップ分析の結果、競争相手の弱みを自社の強みで攻撃するか、あるいは競合の強みを弱みに変えてしまう戦略を考えるのです。どちらの方法をとるにしても、競合とのギャップ分析は、これら九つの活動を基準にして自社と競合との強み、弱みとそれぞれの活動について、何が強みなのか、何が弱みなのかを明らかにしていきます。ギャップ分析の手順は以下のようになります。

 

<ギャップ分析の手順>

1.ポーターのこの区分は、一般的な例で示しているので、これらを自社のビジネスの流れに適合するようにして、自社のバリューチェーンをつくり上げます。

2.つくりあげた自社のバリューチェーンのそれぞれの活動項目について、「強み」「弱

み」の分析を行い、何が強みで何が弱みか、そのポイントを明確に記入します。

3.自社に行ったと全く同じ条件で競争相手の分析を行います。

4.以上のプロセスを複数のメンバーで行ってその結果を持ち寄り、最終まとめを行

います。

5.最終まとめた結果をもとに競争戦略に反映させます。

 

このようにしてギャップ分析を行いますが、ギャップ分析の狙いは、有効な競争戦略をつくり上げることもさることながら、自社の組織を強化するためにも重要な分析です。

撤退戦略

日本経済における長期の成長で撤退は美徳に反することとして、前向きな撤退戦略を考えることは見られませんでした。しかし、社会・経済の全てがグローバル化し、世界的な規模での競争が激化している現代においては、たとえ赤字に転落していなくとも競争力が十分でない事業から撤退し、国際的に見て自社の競争力のあるドメインに経営資源を集中していくことが重要になります。

そういう意味で効果的で前向きな撤退戦略は大切です。撤退が行われる理由としては以下の4つの条件が考えられます。

 

①見通しの誤り

②市場競争に敗北

③需要減少・市場消滅

④ドメインの再構築戦略

 

また撤退を決める場合に注意をしなければならないのが「撤退障壁」です。ある事業から撤退しようと考えても、それを思いとどまらせる要因が企業には存在します。それを撤退障壁とよびます。撤退障壁として考えられるものには以下の要因があります。

 

①耐久性のある専門特化した資産の存在

②設備撤去など高額な設備撤去費用

③社内他部門との要因

④経営者の事業への愛着や従業員への配慮など心理的要因

⑤政府や社会的制約

⑥他製品・他事業とのシナジー面での配慮

 

撤退障壁の高い業種においては、低収益構造であっても撤退が進まず、その結果として業界内での競争激化が続き、業界全体が低収益に悩まされることになります。