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既存業者間の敵対関係

業界内での既存業者間の敵対関係に関する分析を行います。敵対関係の強さを測る尺度としては、同業者の数、類似した規模の企業数、業界の成長度、買い手のスイッチの容易度、競争業者の戦略、撤退障壁の大きさ、業界内のコスト(固定費、在庫コストなど)などがあります。業界内での競争が激しければ激しいほど、当然のこととして、収益は低下します。

ポーターは、業界内の競争が激しくなる要因として次の七つをあげています。

(ⅰ)同業者数が多いか、同規模の会社が多数存在しているか

同業者の数が多い場合や同じような規模の企業の数がひしめいている業界は当然、競争が激しくなります。パリのエッフェル塔へ行かれた方は、必ず目にする光景ですが、エッフェル塔とその周辺には多数の露天商がいて、それぞれが同じようなエッフェル塔のミニチュアをもって買わないかと迫ってきます。まさに商品にも、売り方にも差別性のない激しい競争の見本です。

(ⅱ)業界の成長が遅いか

成長の速い業界では、その成長についていくだけで十分に利益を享受することができます。しかし、成長が遅い業界においては、その市場のパイがなかなか広がりませんので、そのマーケット・シェアの奪い合いになり、当然、利益は低下します。そのような市場では、シェアを高める努力が必要になります。先のエッフェル塔の例でみると、当然、年間の来客数に大きな変動はないでしょうから、当然のこととして競争がかなり激しくなり、一つでも多く売ろうと(シェアを高めようと)観光客にしつこくアプローチしてくるわけです。そのアプローチの仕方にも差別性は見られません。

(ⅲ)固定コストまたは在庫コストが高いか

生産の設備にかかわるコストなど固定コストの高い企業ほど損益分岐点が高いため、それを超えようと大量の生産を試みます。結果として、生産過剰となり、それを売り切ろうとするために業界での競争は熾烈なものとなります。同様に在庫コストが高い企業においても、在庫の資金化の必要性から激しい競争を招きます。

(ⅳ)製品差別化がないか、買い手を変えるのにコストがかからない

製品やサービスの差別化がなされていない(つまり、どの業者も同じ製品、同じサービス)とすれば、買い手は価格の安いところから購入するでしょう。しかし、たとえば先のエッフェル塔のミニチュアを販売する露天商の一人が折りたたみ式でコンパクトになるミニチュアを販売したり、あるいはホテルまでの宅配サービスつけたりするなどすれば、他の業者との差別化がなされ、この露天商としての業界内の競争は緩和され、価格競争に陥ることなく、他の業者よりも、多くの売り上げ増につながるはずです。

(ⅴ)キャパシティを小刻みに増やせないか

ここでいうキャパシティとは、企業の生産能力を指します。たとえば、エッフェル塔の来場者が年間五パーセント増えると試算された場合、ミニチュアの生産能力を二倍にしたら生産過剰となり、値下げして売るか在庫を廃棄するしか方法はありません。しかし、この生産キャパシティを来場者増加分に合わせて少しずつ増やすことが可能であれば、市場への対応がうまくできることになります。

(ⅵ)各競争業者が異質な戦略を持つか

業界における各同業者がそれぞれ異質な戦略をとっている場合、それぞれの戦略で対

抗するため、業界内の競争は激化します。ある業者にとっては正しい戦略も他の業者にとっては誤りであったりして、競争上のルールが全く存在しなくなります。低収益でも満足するオーナー企業の組織体質と多くの株主に支えられた一般企業のなどの企業体質あるいは親会社や関連会社などとの関係で異質な会社はその目標も戦略も異なるため暗黙裡にある業界内のルールは無視され、当然の結果として競争は激しさを増すことになります。

(ⅶ)撤退障壁が大きいか

また撤退を決める場合に注意をしなければならないのが「撤退障壁」です。ある

事業から撤退しようと考えても、それを思いとどまらせる要因が企業には存在しま

す。それを撤退障壁とよびます。撤退障壁として考えられるものには次の要因があ

ります。撤退障壁の高い業種においては、低収益構造であっても撤退が進まずその

結果として業界内での競争激化が続き業界全体が低収益に悩まされることになり

ます。

・耐久性のある専門特化した資産の存在

・設備撤去など高額な設備撤去費用

・社内他部門との要因

・経営者の事業への愛着や従業員への配慮など心理的要因

・政府や社会的制約

・他製品・他事業とのシナジー面での配慮

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