財務上の戦略課題

経営戦略を策定する時に、そのベースになるのが自社における財務の状態です。財務諸表には自社の現状が明確に出ておりますので、その現状を把握した上で、将来の自社の理想的な財務の状態を考えて明確にし、その状態に近づくための戦略を考えることが大切です。

まず、財務諸表から自社の現状を把握するにはどうしたらよいでしょうか。それには大きなくくりで、以下の順序に従い財務諸表をチェックするとよいでしょう。

(1)安全性のチェック

ここでは、貸借対照表は大きく分けて4種類しかないことを理解し、図を描いてみると明確になります。図を描くときのポイントは、貸借対照表の5つの要素の割合を図示することです。5つの要素とは、借方は、流動資産と固定資産、貸方は流動負債、固定負債と純資産です。これらを総資産に対して何%になるかを図示してみてください。

(2)ROAの推移を見て、収益性・効率性をチェックする

ROA(総資産利益率)は、経常利益を総資産で割ることで求められますので、そのパーセンテージを複数期比較して推移を見ます。その結果、改善しているにしても、悪化しているにしても、その原因が収益性にあるのか、効率性にあるのかを確認します。この場合、収益性は、売上高対経常利益率、効率性は、総資産対売上高で、それらの推移を見ます。

(3)財務上の課題を明確にする

上記(1)、(2)の手法で財務上の問題点を確認した上で、自社の将来を見据え、どこをどのように改善したらよいのかを考え、そのための財務上の課題を簡潔に明確に書き出します。

 

上記で書きだした課題を財務上の戦略課題として頭に入れ経営戦略作成時に活かします。