経営戦略の構成要素

先にメールマガジンVOL.99で経営戦略には4つの基本構成要素があることを述べました。その4つの要素について詳しく見ていきましょう。

1)ドメイン

ドメインとは、企業が活動する一定の領域、つまり「事業領域」を意味します。企業は環境との相互作用により成り立っているので、適切に環境に適応するためにドメインを明確にしておかねばなりません。優れた企業は、ドメインを明確にして、やるべき事業とやるべきでない事業を明確に区別しています。ドメインは、以下の三つの視点で明確に説明できます。

「どのような顧客(市場)」の  → 顧客層

「どのようなニーズ」に向けて  → 顧客機能

「どのような技術(能力)」で  → コア・コンピタンス

製品・サービスを提供するのか

2)資源展開

企業活動は、そこに経営資源を投入することで成り立っています。経営資源には、ヒト・モノ・カネ・情報があり、最近ではさらにこれらに加えて、コア・コンピタンスとしてのノウハウ、ブランドといったソフトな資源が重要になってきています。企業が利用できる経営資源は有限なものであり、限られた資源から最大の効果を生むために他社にはない競争上有効な経営資源を重点的に蓄積し、重点分野に対して集中していく資源展開が重要であり、こうした意味から資源展開は経営戦略の重要課題です。

3)シナジー

複数のプロジェクトにおいてそれぞれ別個に行うよりも相互に関連付けて行う方が大きな成果が得られやすくなります。企業の業績はこうしたシナジー効果(相乗効果)の有無によって大きな差がつきます。経営戦略では、事業を個別に行うよりも、相互に事業間でよい影響を与えあうことによってシナジーが最大になるよう全社的な調整を行って経営戦略を策定する必要があります。

4)競争優位

企業には競争者あるいは潜在的な競争者がいて、競争者との競争を前提として企業活動が営まれます。従って、企業が長期的に優位に発展するためには、これら競争者に対して「競争優位」を保つ必要があります。自社がいくら優れた技術やノウハウをもっていたとしても、競合他社が自社よりすぐれたもっていたとしたら、自社が競争優位を発揮することはできません。競争優位は、市場と製品の特徴的なポジショニングによって得られることもあれば、独自のノウハウ、技術などコア・コンピタンスで得られることもあります。競争優位の獲得と維持は利益の源泉であり、経営戦略の重要な要素です。